女の子はソファーですやすやと眠っていた。
「どこから連れてきたの?」
「海…、あの子のおうちに連れて帰ろうとあの子に案内してもらったら、うちに着いちゃってたのよ…。私のこと母親と間違えて離れないし困っちゃって…」
「…どうするの?」
「…どうしよう」
私たちは困り果てた。
沈黙の末、健太が口を開いた。
「…しょうがないか」
「え?」
「俺たちのこと親だと思ってるんだ。しばらく付き合ってやんね?」
「そんな、本当の親が心配してるわよ!」
「心配してたら警察に届けるだろ」
「私たち誘拐犯になっちゃわない!?」
「心配性だな、亜紗子は」
「だって…」
「大丈夫だよ。なんとかなるよ」
「……………」
なんて軽い…
健太は簡単にこの子を受け入れた。
「パパー、コーヒーどうぞ。パンも焼けたよ」
「ありがとう。ゆめはいい女になるなぁ、きっと」
「ママー、マヨネーズがないよー」


