「バレー部に入りませんかー?楽しいですよー」
桜が咲き、まるでおとぎ話の花畑のような春。
その中で部活勧誘があちこちで争っているようにも見える。

今年から高校生の琴梨は重苦しかったスカートを膝上15㎝以上短くした。
『どこの部活に入ろうかなー』
そう呟いていると、後ろからポンッと肩を叩かれた。
「琴梨ー!びっくりした?」
『もー、鈴!びっくりだよ』
「いやー、どこの部活に入るのかなー?って思ってさ」
まだ鈴も部活は決めていないらしい。
すると、部活勧誘の人たちが声を掛けてきた。
「よろしかったら演劇部に入りませんか?」
「『演劇部?』」
去年、ここの文化祭は見たことがあるが、
演劇部は文化祭で演劇を披露するらしい。
自分には向いてないなぁ。
「琴梨、どうする?」
『うーん、あまり大きい声出せないしなぁ...鈴は?』
「入りたい!!!!」
...即答。
「ってことでウチら2名!入部希望ですッ」
『...やっぱりこうなるのか』
「では、部活組織会の時に部室へおいでくださいね」
そう言うと演劇部の先輩方はたくさんの人ごみのなかに消えていった。

Ⅰ-2
琴梨はダルいHRを聞いていた。
窓から見える桜と真っ青な青い空を眺めていた。
『...痛ッ!』
ぼーっとしていると頭に消しゴムが命中。
「おい、お前ちゃんと話聞いてんのか?」
『は?あんただって聞いてないでしょ。』
「次、目にシャーペンでも命中でもさせるかー」
『...すいませんでした。』
隣の男子が投げてきたものだった。
名前は秋夜。会話の中でも分かると思うがドS。
ウチより身長低いくせに!!!
「そこー!!話聞け!」
『え!?ぁ、はい...』
今度こそは秋夜に仕返ししようと企んでいた。
でもいつもあいつのカンは鋭く、実行する前に実行される。
「えーでは春の体育大会のことについて決めたいと思います。」
『体育大会ねぇ・・・。』
どちらかと言えば運動はあまり好きじゃない。
100mマラソン。リレー。長距離走。なわとび。
このなかで出場できそうなのはせいぜいなわとびくらいだ。
「お前何出るんだよ?」
『なわとび。』
「陳家な競技でんなー。もしかして運動音痴とかゆーやつ?」
『ほっといてよ。で、秋夜は何でるの?』