唯「え、どうした?」


楠木くんの手が、私の頬に触れる。


唯「ごめん、そんな痛かった?

  どっか怪我してる?」



楠木くんの心配そうな声が聞える。


その表情は見えないけれど、


声だけでも伝わるほどに。



莉「ちが...違くて....ヒック」



泣いちゃダメ、って


楠木くんは怖くない、って



楠木くんは、あの人とは違う、って


自分に言い聞かせるけど


涙が止まらない。