だ、誰だ・・・この女の人・・・!!
彼女はなぜか驚いた顔をしていた。
おいおい。驚いた顔も可愛いじゃないのよ。

「あの・・どちら様ですか?」

私がそう尋ねると彼女も同じように質問する。
・・っておい
これ・・・私じゃないの?
この鏡の前の美少女。
いやいや。でも私こんな可愛くないし。
・・・あ。そっか夢だな。変な夢だなァ・・・
頬を引っ張ると目が覚める代わりに痛かった。

「夢じゃない・・・私だ。どうして・・・この姿?」

呆然としているとフッと頭が軽くなる。
妖精が頭から降りてきた。
さてはドッキリだな・・・!
この妖精は人形だ!
そんでもって私は、特殊メイクでここまで美女に・・。
なれるのかな・・・?
 
無意識のうちに妖精の小さな頬を引っ張っていた。

「いたい・・・いたい!!」

「・・・あ。すいません。」

ハッとして手を離す。
こいつも本物か。
妖精は赤くなった頬をさすりながら少し私を睨む。
そのあと咳払いをして、私の顔の前まで来た。

「・・・初めまして。私はあなたに呼ばれてきた桜よ。」

はぃ?桜だと・・?
名前なのか・・・それとも桜の擬人化なのだろうか?

「あ、名前の方ね。桜っての。」

・・・ソウデスカ。
ってもしかして私が昨日願ったから?
だとしても桜が名前って単純すぎやしないかい?
まぁそれは、おいといて。

「初めまして。私は・・・」

「美代でしょ?知ってる。」

ソウデスカ。

桜は急に真剣な目つきになる。
そして一言

「おめでとう。あなたの願い聞き届けてあげるわ。」

「え?」

その、言葉の意味が理解できなくて私は呆然と立ち尽くした。
もしかして私の「込めた願いの強さ」が桜を呼び出したのかもしれない。
それに気づくのはもう少したってからだった。