京介は深刻そうな顔で
あたしを見つめる。


「大丈夫だ、その心配はねえ」


「だよな。お前が喧嘩で負けるなんて
 有り得る訳ねえよな」


「ああ。けどあたしは喧嘩はしねえよ」


あいつとの約束を守る為にも。


「そうだったな。まあ、夢亞が襲われそうになったら
 俺がすっとんでってやるから、安心しろ」


あたしの頭をポンポン撫でると
京介はニコっと笑ってみせた。



「ああ」



京介の笑顔はあの頃を思い出させた。
あの頃あたしは皆の傍に居て
幸せだった。



「とりあえず、色羽にだけは
 黒猫だってバレんじゃねえぞ」


「分かってるよ」



ちゃんと普通の女の子
演じきってみせるからさ。