「あ、真美、新幹線これだよ。」

「待って待ってキャスターが」

真美の大きな荷物を入れたバッグのキャスターが
溝にはまった様子。
でもすぐにとれ、新幹線へ駆け込んだ。

「この席…かな?」

「た…ぶん、そうじゃない?」

とりあえず、そうだと思われる席に座った。
これから旅が始まるんだ、って思うとワクワク
しちゃう。




「ちょっと、あんたどこに座ってんのよ~」

早速お菓子を開けようとしたら、
横から紫色のヒョウ柄のミニワンピース(笑)
を着たおばちゃんが声をかけてきた。

「「え?」」
あたしと真美は声を合わせて言った。
そして、もう1度席番号を確かめた。

「あ、利佳ごめん!あたしここじゃないっけ」

「えー!!」



「ほら、どいたどいた」
と、おばちゃんは真美に顔を近づけた。
「すいません」
と、真美は荷物をまとめる。



ん?

気づいたら、私の隣と前後の席に座ってる人は
おばちゃん集団で囲まれていた。

「え、ちょっ!」


どうやら、あたしと真美の席は全く違
離れているらしい…


新幹線は2時間くらいあるのに…
最悪…。


「利佳あ、ばいばい」
「う…真美ぃ」



あたしたちは一時別れを告げた。