二匹の野獣と・・・・

海斗side


俺には守るべきものがたくさんある。

妹、弟、母親。

母親は放任主義で、たまに一週間くらい帰ってこないことがある。

そんなとき、俺はいつも下二人の面倒を見ていた。


俺が中1の時、流莉が生まれた。

俺が中3の時、空海が生まれた。

俺が高1になる前に、オヤジは消えた。


最後に、オヤジが言った言葉。

『三人を、守ってくれよ。』



無責任な親だ。




「兄貴!!なんで流莉を俺の部屋にはいらせたんだよっ!」

「あ?んなの、お前の反応を楽しむために決まってんだろ。」

俺は、スーツのジャケットを着た。

あぁ、今日もまた忙しい一日が始まる。


「ドS!!鬼畜!」

真っ赤な顔をしながら、ご飯をガツガツくう空海。



「はぁ・・・。どうとでも言えばいいけど、早くしねぇと部活遅れるぞ。」

チラリと、TVに目をやると、7時とでかでかと出ていた。

「やっべ!?ごちそーさま!!!!行ってきます!」

空海は慌てて靴を履き、家を出ていった。

すると、次は流莉が二階から降りてきた。



「お兄ちゃん。行ってくるね!お仕事頑張れ!」

ニコッ、と俺に笑いかけると、出ていった。

「行ってらっしゃい。」



さて、俺も行かなきゃだな。



にしても・・・・・空海、あいつは極度のシスコンだな。
     
ま、俺にはかなわないだろうけど。