秋の言葉に和音は耳を疑った。
途端、悲鳴が響き渡った。
振り向くと友蘭の蝶が茨に絡み付かれ喉を縛り上げられていた。
動脈に茨の棘が突き刺さり血が滲み出している。
和音は口を微かに開けてその様子に見入る。
震える和音に秋は声をかける。
「かずねは治癒…できるよね?」
「え………うん…」
「蝶のこと 治して上げて」
言うと同時に秋は「おいで! 僕のテディア!」と大きく叫びながら傘を前に振った。
その瞬間、和音を支えたぬいぐるみよりずっと大きな熊のぬいぐるみが姿を現し茨を引きちぎった。
蝶は椿と色に支えられ地面との衝突は免れた。
和音は蝶に駆け寄りフルートを構えた。
そして美しい旋律を奏で始める。
すると蝶の首についた傷がみるみる治っていく。
チーム友蘭は回復した蝶に泣きながら抱きついた。
リーダーの蛇世は和音に頭を下げてお礼を口にした。
慌てながらも微笑む和音。
優しい笑顔だった。
…そんな和音に向かって今までで一番太い茨の蔓が何本も向かってきた。
蔓先は棘が大きく成長し剣のようになっている。
危険を感じた蝶の声に和音が振り返った瞬間…。
「………え?」
「……かはっ…」
目の前で自分より背の低い女の子が口から血を吐き出し崩れ落ちる。
一瞬の出来事に和音は脳が停止してしまった。
そんな和音に足元に倒れ込んでいる少女に麗と蓮が駆け寄ってきた。

