「和音! 良かったぁ!」
「どうしたの? そんなに慌てて」


和音は親友の手を握り疑問を投げかける。
璃亞は切々な息遣いで笑顔を浮かべる。
ガバリと勢いよく顔を上げたかと思えば口を開けたまま固まってしまった。
「あ」の口をしたまま冷や汗を浮かべ出す璃亞に和音は首を傾げながら再び質問をした。


「言いたいコト 忘れちゃったの?」
「忘れちゃったあ!!」


ガーン…という効果音が似合いそうな蒼白な顔をした璃亞に和音はため息をついた。
璃亞は元気一杯な子だがどこか抜けているおしい子なのだ。
親友の和音は慣れたことなので璃亞の手を引きながら校舎へと入っていった。
未だに言いたかったことを思い出そうと必死に脳をフル可動させている璃亞を無視して無駄に長い廊下を歩く。
「うぅぅぅ」と唸り声が耳元で聞こえるなか二人の教室にたどり着いた。

和音は扉の引き手に手を掛けて引き戸を開いた。

扉が開いた瞬間 目の前から白い鳩が沢山飛び出してきた。
驚きに声を上げた