体育館に行くと先生と思われる中年期の大人達と他のクラスの生徒がたむろっていた。
この学園にいる全生徒は二百人程度だ。
その二百人の中から特に強いIMITATIONが選抜されたクラスが和音達のクラスだ。
そのため選抜クラスの証のピアス(無理ならイヤリング)を付けている和音達は周りのIMITATIONからも一目置かれるのだ。

ざわついている体育館内。
いろいろなIMITATIONがいる中、やはり起こることがある。
それは…


「なんだと!!」
「なんだよ!」


―喧嘩だ。

ステージの脇で茶髪の男子生徒が二人口喧嘩をしている。
何人かの生徒が止めようとしているがなかなか聞き入れてもらえていない。
怒鳴り声は益々大きくなり耳に響くくらいになっていた。
和音の隣にいた秋は顔を歪めて耳を塞いでいた。


「和音ちゃん」
「麗くん?」
「和音ちゃんのフルートは安らぎと和みを与えるんでしょ? 使いな…」


右から麗が、左から蓮が声をかけてきた。
和音は暫く考えてから小さく頷く。
肩から下げていた鞄からフルートを取り出し唇に添えるように翳す。


~♪