―ここ 聖白桜学園には人の領域を超えた能力を持ち合わせる者達が集まる場所だ。
最近 増え始めた特殊能力者『IMITATION』。
彼らは攻撃、防御、治癒、回避、知力、運のスキルという能力を扱い人間では不可能な力を使うことが可能になる。

しかしIMITATIONは危険性も高いため聖白桜学園で扱い方と危険性を学ぶのだ。


その聖白桜学園にも入学式がやって来た。
薄紅色の桜が咲き誇るこの季節。
IMITATIONとはいえ人間である彼らも新たな学園に胸を膨らませていた。

桜吹雪が儚く舞い散る中一人の女の子が門をくぐり校舎へと歩みを進める。
彼女もIMITATIONを扱う一人。
学園鞄とは別に長細い鞄も肩から下げている。
頑丈そうな鞄には可愛らしい兎のキーホルダーが揺らめいている。
彼女が歩くたびヒールの靴が音を響かせる。

そのヒール音を遮るように背後から大きな声が飛んでくる。


「和音~!」
「璃亞?」


華囃 和音(ハナバヤシ カズネ)―それが彼女の名前だ。
この物語のヒロイン。
和音を呼び止めたのは彼女の親友―欠片火 璃亞(カケラビ リア)。
二人は同い歳で同じIMITATIONなのだ。