「散歩? …って。私が聞いてるのにぃ。……あ、コロちゃんの散歩か!」
「だから梨音…」
「……わざとだい」
「そうすか」
あ…。
そういえばあいつ飯食ってなかったっけ(自分もだけど)。
寝ろとか言ってきた気がする。
どんだけだよ。
あーもう…戻ろ。
近くにいたらまた手ー出して(襲ってとも言う)しまうかもとか思ったけど、あいつがそばにいないと逆に気が落ち着かない。
「じゃ、俺はこれで…」
「ああ、そうかね。……声は抑えよと伝えてくれたまえ❤頑張れっ❤」
「梨音、来い」
「わんっ」
「あっちょ…! 無視…!? ねえ(義)息子やい、無視…!?」
真裕のやつ……もう寝てたりして。
それか、琥珀を抱きしめてベッドの上に座り込んでて目を潤ませてるか。
どっちかだな。
無視に無視を重ね、すぐそこの扉を開いた。
―ガチャ…
ぴょーんと飛び降りた梨音をちらっと見、数メートル先にあるどでかいベッドに目をやると。
「……」
「うあーんっかっくんおーそーいーっ」
「……」
…フッ…。後者だったか…。

