秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


――楓サイド――


今の気持ちを行動に表すなら。

とりあえず、誰かに殴ってもらうだろう。


「ハア……」


…俺は、自分で言うのもなんだが、感情表現が乏しいと思う。

どうにもこうにも表に出すことがあまりない。

まあ…真裕には思いっきり見破られるようになったみたいだけど。

でもたぶん、色恋沙汰に鈍いあいつは気付いてない。


柄にもなく……嫉妬というものをしてしまったことに。


「きゅん?」


「…お前はいいな、楽で」


「?」


こいつ嫉妬されてるしな、真裕に。

「かっくんのばかあ! まおの梨音ちゃんなのにっ」…って怒られるし。

俺のせいじゃねぇ。



「ん? 楓くんじゃないかどうしたのかね」


「あーいえ…別に…」


梨音を抱いて広い廊下をうろうろしていたら、運の悪いことに真裕父に見つかった。


「お? その子はー……コロちゃんか!」


「梨音」


「……わざとだい」


「そうすか」


自信満々に見えたがな。


「で? なにしてるんだいこんなとこで。真裕は?」


「部屋に。俺はちょっと…………散歩?」