『これ結構ぴっちりしてるのね』


『そうだよ。だからスタイルの良さが引き立つの』


『あらまあたしのためにあるような服ね❤』


…この二人も思考回路が似てるな。


『じゃ、アイメイクを中心にね。…メイリーは?』


『はァいこっちよ』


おお! 素敵だ! すんごく素敵だ!

はあ…❤憧れる❤


『じゃ、これを―』




…なんてことをしているうちにだんだん楽しくなってきたあたしは、みんなのメイクを少しつついたりして思いっきりエンジョイしてしまった。

当初の目的……忘れるとこだったよ!


「ほんじゃこの車で会場に向かって。…お兄ちゃん、いーい?」


「は?」


準備が終わり、男の子組と合流した後。

一台のリムジンの前で、あたしは仁王立ちでお兄ちゃんに向き合った。


「例えあなたが死んでも絶対安全運転!」


『運転手死んだ時点で全然安全じゃなくね?』


『アッシュ黙ってなさい』


「あなたは死んでもみんなに怪我させちゃダメだからね。…もし! 誰か一人でも掠り傷一つあってみなさい。そのときは…どうなっても知らねーわよ」


「ひっ…! こ、心得ております…!」


「真緒たん一年に一度の怖いバージョンや!」


「そうかしら? この程度なら意外としょっちゅうあるわよ。一年に一度ってこたないんじゃないかしら」


ああ、もうなんでもいいから早く乗った乗った!