琥珀と梨音を連れて玄関を出て、少し右にそれて歩きながら声を揃える約六名の会話に耳を傾ける。
「そもそもイマドキ付き合って一ヶ月もすれば誰だって“やってる”もんなのに、一年…それどころか結婚してまでなにもないって!」
『そうそう。ありえないわよね!』
「ま…、真緒ちゃんも真緒ちゃんだけど、楓くんも楓くんだね」
『ああ分かる! ヘタレ? あいつヘタレ!?』
「おっ。同意?」
『おうおう! 同意同意!』
「おーなんかそうっぽいで」
ニュアンスだけで会話してる…。面白い。
まありんりん達はドイツ語分かってないけど…。
アッシュ達は日本語分かってるもんね。
それなりに成立はするよね。
「そりゃあねぇ? あの真緒相手じゃ仕方ないかなーとは思うわよ? でもさ、ここはちょっと男を見せてぇ」
『そうなのよ! やっぱりこのままじゃ色々と進まないわよねぇ』
「いーえ違うわっ。楓がヘタレなせいよ!」
『いや…だからそう言って…』
「きっと恐いんだわぁ。真緒に拒否られるのがっ」
「おいコラてめぇら。黙って聞いてりゃさっきから…」
どこ行こっかなー。
公園? …そんなのこの近くにあったっけ。
うーんじゃあ……並木通りを歩こうか。
……そんなとこあったっけ?
じゃあっじゃあっ、湖のほとりを歩こうか!
……湖……なかったかも…。
「えーいっ。もう適当!」

