「……なにお前、誘ってんの?」
「は?」
なにを? え? どったの?
「まあいいけど…。じゃ、体ごと」
「なあに? …!」
はわわっ…。
かっくんに急に抱きしめられてびっくりした。
ぐいんって腕を引かれて、半ば胸に倒れ込むように。
「かっくん…」
そう言いかけたら、くいっと顎を掴まれて。
なんだか色気のある目に見つめられ、心臓をわしづかみにされたようにきゅんとなった。
どきん、どきん、どきん。
高鳴っていく鼓動。
ゆっくり近づいてくるかっくんの顔のせい。
ぎゅっ…と右手で服の裾を握りしめながら、静かに瞼を閉じた。
「…っん…」
あ…。
ヤバイ泣きそう。
あったかいよ…。優しい。
さっきのあれが嘘みたい。
気持ち悪かっただけのものと同じ行為とは思えない。
胸の奥が疼く感じ。
キスって……こんなに気持ちよかったっけ?
「…ん?」

