あたしが着替え終わってガチャっと扉を開けると、目の前でまだ二人は言い合っていた。
「だーかーらー、裸エプロンとかくるくるくるーとか私してみたかったんだもん真琴とっ」
「そんなだから逃げられたんでしょ…」
「にっ…! 逃げたの!? 真琴ってば逃げたの!? 私から!?」
「とにかくそれはあなた個人の趣味であって、“男の夢”なんかじゃありませんって。したけりゃ一人でやってればどうです?」
「一人でどーやるのよ」
「知らね」
「があん!?」
……。
「すっかり仲良くなっちゃって❤」
「仲良くねぇし」
「仲良くないの!? ちちとむすこなのに?」
父様心配しなくても大丈夫大丈夫。
どう見てもすっごく仲良いから。うん。
照れてるんだよきっと。
本気に見えるけどきっと照れてるんだよ。
「おい…」
はっ…!?
し、しまった。普通にのほほんとしてる場合じゃないし。
さっきまでの気まずさはいずこに!?
「じゃー失礼しますよ。ご覧の通り、もう着物も脱いでんだし」
「ううっ。くるくるくるーがぁ…」
嘆く父様にくるりと背を向けて、(なぜか)あたしをぐいんと引っ張って、かっくんはすたすたと歩きだした。
「……あの…。写真撮らせていただいても…」
「ダメ」
ケチ。

