秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


乗り降りする人が多いのに、人が絶えるなんて…と、ふと上を見上げた。


『なに、着いたの?』


「あ、うん。空港にいるよ」


『あたし達今近くにいるの! 出てきたら会えるかもしれないわ』


「本当!」


パッと顔を輝かせたそのとき、人影が現れた。


…そうだよね。

いっぱいいるんだから当たり前…。


そう思いかけたけど、現れたのは一人。

しかもなんか…へんだよ。

帽子深くかぶって、コート着こんでる。


へんなの…。


そう思って少し避けようと、かっくんのほうに寄った。

かっくんもそんなあたしを引き寄せてくれる。


『…え? うん、そう。真緒よ。着いたって!』


「ん?」


電話の向こうではりんりんが喋ってる。

しゅっちゃんの声が聞こえるから、しゅっちゃんと喋ってるんだね。


「じゃありんり…」



「藤峰真裕…」


「……え?」

「…?」


電話の向こうのりんりんに話しかけようとしたとき。

目の前の男が、突然呟いた。



「藤峰真裕…! 思い知れ…!」



……え……!?