秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


やがて別れを惜しみながらも、坂本さんに任せて屋敷を出た。


「お願いね坂本さん」


「はいっ。いってらっしゃいませお嬢様、楓様。お帰りを心よりお待ちしております」


「うん!」


ばいばい、と手を振って、野木さんの運転する車に乗り込んだ。


「私が運転いたしますのに…」


「しょうがないでしょ。ヘリポートがないんだから…」


なーぜだかあの父様は、別荘は造っててもヘリポートを造ってなかったんだよね。

なんか抜けてるっていうかやっぱバカだよね。


「そこんとこも親子だな…」


「なにか仰って?」


「別に」


「そ」


なんか聞こえた気がしたのは気のせいね? そうなのね?


そういって言っているうちに、あっという間に空港に着いてしまった。

実は学校よりも近かったりするんだ。


「それではお嬢様…楓様」


「うん。ばいばい」


ひらひらっと手を振って、うんしょうんしょとトランクを引いて歩いた。


「…大丈夫かお前」


「ん…まあ」


若干…若干だけどね!?

…重い気はするけどさ。

だいじょおぶだいじょおぶっ。


やせ我慢してなんとか運び、荷物を預けた。