やがて別れを惜しみながらも、坂本さんに任せて屋敷を出た。
「お願いね坂本さん」
「はいっ。いってらっしゃいませお嬢様、楓様。お帰りを心よりお待ちしております」
「うん!」
ばいばい、と手を振って、野木さんの運転する車に乗り込んだ。
「私が運転いたしますのに…」
「しょうがないでしょ。ヘリポートがないんだから…」
なーぜだかあの父様は、別荘は造っててもヘリポートを造ってなかったんだよね。
なんか抜けてるっていうかやっぱバカだよね。
「そこんとこも親子だな…」
「なにか仰って?」
「別に」
「そ」
なんか聞こえた気がしたのは気のせいね? そうなのね?
そういって言っているうちに、あっという間に空港に着いてしまった。
実は学校よりも近かったりするんだ。
「それではお嬢様…楓様」
「うん。ばいばい」
ひらひらっと手を振って、うんしょうんしょとトランクを引いて歩いた。
「…大丈夫かお前」
「ん…まあ」
若干…若干だけどね!?
…重い気はするけどさ。
だいじょおぶだいじょおぶっ。
やせ我慢してなんとか運び、荷物を預けた。

