秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


ぷくっと頬を膨らませてシュンを睨むけど、ことごとくスルーされてしまう。

べっと舌を出してやった。


『カエデがいなくて寂しいだろう。いっぱい弾いていいからね』


『ケインはやらないの?』


『わたし!?』


『うん』


なにその驚き様。

想像もしてなかったみたいな。

しろよ。想像くらい。


『わ、わわわわたしはねマヒロ。おおお教える立場の人間であるからして…!』


『つまり弾けないのね』


『うんまあそういうこと…ってなに言いさらす!?』


そういうことなんだ。

弾けないのに教える立場? ふーん…。


レッスン室でやったのは、あたしが最初に来たときみんながやっていた曲だった。

よく知らないなこれ。誰の曲だろ?


気にはなったけど、特に知りたいとも思わずただ、聴いたままを音に乗せた。


やっぱりこうしてる時間はいいね。

すごく穏やかになれる。

それに…ほら、かっくんいないけど、落ち着いて演奏できるもん。

やっぱりあれって一種のスランプだったのかなー。

母様がいなくなって、あたしも不安だったのかもしれない。

だけど母様は見つかった。

悲しい結果だったけど、見つかった。

まだまだ思い出すと涙が出るけれど。

母様は、心の底からあたしの幸せを祈ってくれてた。

応えなきゃならないよ。

いっぱい、幸せになろう。


…そう、思ったのに。

どうして……あんなことになってしまったんだろう…?