「あそうだ! 臨時で誰か雇おうか? お世話係りがいるじゃない」
『なにその発想!?』
「いらんそんなもん」
「えー…でも坂本さんと野木さんはいなくなったら困るし…お兄ちゃん…は、役に立たないだろうしなぁ…」
「いや、だからそんなものいらねぇって」
「えっ。じゃあどうするの?」
「どうもこうもないだろうに」
え…?
じゃ、ごはんの支度は…? お掃除は…?
その他諸々家事雑用は…?
『あのねマヒロ、世の中には一人暮らししてる人もいっぱいいるのよ』
『ひ、一人暮らし…』
そんなこと、かっくんにさせると!?
「ち、ちちちちょっと待ってねかっくん、ホテル手配するね今すぐっ。緊急だから五ツ星ホテルはちょっと無理だけど…! せめて三ツ星…」
『んな!?』
『“せめて”三ツ星って…。舐めてんのかしらこの子…』
『しょうがないわよ。だって天下の藤峰家のお嬢様よ? そういう感覚が普通なのよ』
こそこそ頭をくっつけあっているメイリーとハディをよそに、あたしはお兄ちゃんに電話をかけた。
こういう事務的な仕事はお兄ちゃんが一番。
ま、人にはそれぞれ得意分野と苦手分野があるってことだよね。
「かっくんはなにが苦手分野だろう…」
『恋愛』
『そう』
『絶対』
「おい」

