なぬ?
「お前に言われたことは何でも叶えたいってやつじゃねぇの」
「んまあ……。それは悪いことしたねぇ…」
どうせ無理言うなら……失敗ばかりのお兄ちゃんにお灸据える意味ですればよかった!
「お前ってやつは意外と腹が黒いなおい」
「え!? 毛でも生えてました!? 見たの昨日!?」
「バカそうじゃねぇよ。…しかも何気に記憶ちゃんとある発言しやがって…忘れてりゃよかったものを…」
「ん? 最後なんて言った?」
「なんでもない」
「?」
しかしああ言わせてしまった以上はこちらもいいよとは言い出しにくく、とりあえず三十分待ってみることにした。
そしたらなんと…!
なんときっかり三十分後!
―コンコン
「失礼いたします。お嬢様、楓様」
坂本さんの落ち着いた声だ。
ま、まさか…?
まさかまさかと思いながら「どうぞ」と促すと、ワゴンを押しながら坂本さんが入ってきた。
「クロワッサン、用意できました」
「んなっ…」
キラキラと輝く(ように見える)クロワッサン…!
ほわほわと立ち上がる湯気…!
ふわりと鼻をかすめるバターのよい香り…!
これはまさしく…! 焼きたて!

