――楓サイド――
「……ハアー……」
……。
「……ハア……」
……。
「……あーくそ。誰か殴ってくんねぇかな…」
…真裕のリサイタルの翌日。
朝っぱらから俺は、頭を抱えてため息をつきまくっていた。
なんで一日が後悔から始まるんだよ。
あーくそそうだよ自分のせいだよ悪いかこの野郎。
「……」
心の中でわけの分からない悪態をつきつつ、気持ちよさそうに眠る真裕をちらりと見やる。
そしてまた…。
「ハア…」
ため息…。
……手…。
出しちまった…。
「なんなんだよもう…。罪悪感かコノヤロー」
第一…あいつが妙に色っぽいから悪いんだろ。
普段可愛いだけのくせして。
なんなんだ昨日のあの色気は。え? どっから湧いてきやがったくそが。
俺だって…あれだ。…あれなんだよ馬鹿野郎。
好きな女目の前に、いつまでもお預けくらってられるかってんだ。男なんだから。
「……ハア」
…八つ当たりしてる自分がバカらしくなった。
…いや、でも今のうちに当たり散らしとかないとこれ本人に当たっちまうぞ。
……よし。遠慮なく当たっとこう今のうちに…。

