秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


―――……


『カエデおっそい!!』

『なにやってたのよー…』

『早く早く』


引っ張られて席に腰を下ろすと同時に、開演を知らせるブザーが鳴った。

途端にぴたっと会場の声は収まる。


始まってからは…恐らくこの場の全員が、呼吸さえ忘れかけた。

背筋が逆立つような…頭に直接響くような…内側からかき乱されるような、真裕にしては珍しく激しさがある。

それをうまく抑え込むのが、真裕独特の柔らかさだ。

今にも折れそうに儚いのに、どこか包容力のようなものがあるのがあいつだ。




『……』


気が付いたらもう、開始から三十分以上が経っていて。

とても短くとても長い、真裕の復帰リサイタルはあっという間に終わっていた。


会場にはもう、なんの音もないというのに。

誰一人として口を開きもせず、ぴくりとも動かなかった。



―パチ…パチパチパチ…



しかし、やがてぽつぽつと拍手は沸き始め…ワッと場内は沸き立った。


これでもかというほどに歓声の嵐に包み込まれる場内。

真裕は弓と本体を持った両手を下に降ろし、正面を見据えていた。


『えー、えー、皆さん落ち着いて! お静かにお静かにッ。本日は特別に、皆さんが隠し持ってるそれらを…! 花束やその他諸々を、受け取っちゃいますよー! ……本人が❤』


『え!? 本当!?』

『素敵!!』

『俺一番乗りーっ』

『あたしよー!』


「……え、マジ…!?」


…え、マジ…?