秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


ドレスと格闘している真裕に近寄って、背中のチャックを上げながら言った。


「もう十分前だろうが。なんでまた…」


「だってね…。最初に着るはずだったドレスが大きかったの。ウエストだぼだぼ。この辺はぴったしだったんだけどねぇ…」


そう言って胸のあたりを撫でる真裕。

胸は合っててもウエストはでかかったのか…。

やっぱりこいつ、こう見えても結構スタイルはいいな。


『真裕様』

『仕上げにかかります』

『こちらにお座りくださいまし』


仕上げて…まだあんのか?

…そう言いかけて口をつぐんだ。


……よく見りゃ髪の毛ぼっさぼさじゃねぇかよ。


整えてもらっている間、扉の横の壁にもたれかかってじっと見つめながら待った。


しかしさすがに真裕のお抱えのヘアメイクだ。

ものの三分ほどで完璧に仕上がった。


『行ってらっしゃいませ真裕様』

『楽しみにしております』

『さあ、どうぞ』


バイオリンを手渡された瞬間、真裕の目付きが変わった。


世界中の誰もが待ち侘び。

誰もが愛し続けた、藤峰真裕の完全復活だった――。








「行ってきます」


「…ああ」