それから時間が迫るとともに、騒がしさは倍増する。
『まだかな?』
『バカまだ十分もあるよ』
『そこんとこほら、ちょちょいとタイムマシンかなんかでなんとかならない?』
『なるわけあるかΣ!!』
『…あのカップル面白いわね』
三列後ろに座るカップルの会話を聞いて、なぜか俺を見ながらそう言うリジュ。
『なんか文句あんのかコラ』
『不良みたいねカエデ』
『あ?』
そんなこと言われたのは……初めてだ。
『初めてなのか? いや、そんなわけないだろ』
『なんで』
『だって…特攻服とか似合いそうだぞお前』
『……』
どういう意味だよ。
それこそ言われたの初めてだわ。
呆れ返って言葉も出ずにいると、すぐ後ろからこんな声も。
『あ、あのさ…。さっきから俺気になってんだけど…』
『わ、わたしも』
『やっぱりあの前にいるのって……』
『真裕ちゃんの旦那さん! …の、星野楓!』
なんだその取ってつけたような…。
『もはやマヒロの旦那っていう印象のが強いみたいね』
『マヒロはマヒロで、カエデと結婚した天才少女っていう印象が強まってるな』
『結局人ってそういう話題が一番好きなのよね』
『そういうこったな』

