「あの…それで本日のご用件は?」
「あれ、聞いていませんか? 共同開発のおはな…」
「お断りします」
「早ッ!?」
…ハッ! つ、つい…。
無意識に口走ってしまった。
「えー…こほん。それで? 共同開発というのは?」
「え、今断るって…」
「お早くお願いいたします。予定が詰まっておりますので」
「あ、はい…。えー…こちらなんですが…」
差し出された資料にざっと目を通していて……気付いた。
「……あの、なにか?」
「あっ…い、いえ」
この人…どこ見てるのかしら。
舐めまわすような目であたしの体を見つめてる。
嫌な感じ…。
……ってコワッ!?
隣のかっくん超コワッ!?
めちゃめちゃ睨んでるじゃん超怖い…。
「チッ…」
「あ?」
睨まれてることに気付いた谷川息子がなんと舌打ちをし、かっくんはたぶん無意識に「あ?」と声を出した。
「…ごほん。…この、B案の部分についてお聞きしたいのですが」
「え? ああ、こちらはですね…」
気持ち悪い。急ににこにこしながら顔を近づけてくる。
ぞっとした。あの時の記憶がよみがえって。

