――そして数日後。
詳細を知らされぬまま、お仕事の日はやってきた。
「いってらっしゃいまし」
「はーい」
本社はパリにあるから、朝も早くから自家用機を飛ばさなきゃならない。
「しかし父様の様子…ちょっと変だったな」
「変なのはいつものことだ。…お前と一緒で」
「今なんて? ねえ今なんて? 一緒? 一緒とか言わなかったねえ?」
「で? どこがどう変だったって?」
「ごまかしてない? こないだからごまかし過ぎじゃないねえ?」
しかもあんまりのざっくり感。
これでもかってほどにガン無視したよね。
「聞いてんのかおい」
「え…うん…。いや、そっちこそ聞いてんの…?」
「まあ確かに挙動不審ではあったな」
「なにが?」
「義父(おやじ)さん」
そう、そうなんだよ!
絶対目合わせようとしなかったし、「じ、じじじじゃあい、行ってくるがよい。わ、私用事で一ヶ月くらいいないからねっ」…って相当どもってた上に口調が若干変だったな。
なにか隠してるんだろうか…?
ちょっと気になったけど、大したことではないだろうとすぐに忘れてしまった。
まさか……まさか世界中探しまわってやりたいほどのことをしでかしてくれてるとは思わなかったからね。
「いざパリへ❤」
「楽しそうだな」
「はい❤」

