…こんなにのんきに、「かっくんと一緒❤」って浮かれてた自分が、あたし恨めしい。
その仕事の相手先が分かってたら…!
浮かれてられないっていうかぶっちゃけ断ってた。
「しかしまあ…。仕事といえばヤなやつ思い出すな」
「えっ? なんのことかしらっ?」
「……無理やりだな」
なにがかな!?
あたし、かっくんがなに言ってるか、分かんないなっ。
「まだ付き纏ってんじゃないだろうな」
「だからなにがかな!?」
「そりゃお前…あのけっ…」
「う"えっほんっ。げほっごほっ。あー風邪かしら。いやあねおほほ」
「……」
おほほほほっと口元に手を当てるあたしを、しれっと見つめるかっくん。
メイリーも呆れた声で言った。
『浮気しても絶対すぐ分かるわね。よかったねカエデ』
『そもそもそんなことできるほど器用じゃねぇ』
『あんたもねー』
『……俺はあれだ。……やろうと思えばいつでもできるが愛ゆえにしないだけだ』
『あら。カエデにしてはくさいこと言うじゃない。嘘下手ね』
『……』
おっ。かっくんが黙り込んだ!
メイリー強し! なんか分かんないけど強し!
おおおっと感動していたら、うるさい教室だというのに扉を開けるガラガラッという音が妙に大きく響いた。
『マヒロさん、見たわよ❤素晴らしいわね! 今日の実技がますます楽しみです』
入ってきたのは先生で、目を輝かせていた。

