運転席から…つまり野木さんから。
残念に思いながら、かっくんから離れた。
数分後には車が止まり、むわっと暑い外へ。
「あ"う"~…。しぬ…」
いっそ清々しいほどの暑さだ。
暑いのに清々しい。
分かる? この矛盾。
それだけ暑いってことさっ。
『あッ!! 来たわよ!』
『本当だ! マヒロー!』
『この間の報道はホントですか!?』
『来月リサイタルやんの!?』
―どあーっ
「わあ」
な、な、なにごと…!?
おっそろしいくらいの人の波!
つぶされちゃいそう…!
『ていうか…! 本物だったんだな…!』
『ねえいつやるの? 具体的に教えて!』
『みんな落ち着いて!? まず…! あたしを通して!?』
『なんで!?Σ』
いや、確かに。
みなさん総出の突っ込み、正しい。
誰か知んないけどばーんって胸張っておかしなこと言うね。
でもその彼女のおかげで、一瞬人々の気があたしからそれた…!
さあ、今のうちよ! 二人で一緒に…! 愛の逃避行へ…!!
「バカ言ってねぇで行くぞ」
「はい…」

