秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


目を閉じてみれば、“藤峰真裕流”だというのが分かる。

目を開けてみれば、あれが“本物”か、と思う。


心の底から思った。

天才という言葉は、まさにこいつのためにあるんじゃねェのか…と。


―~~♪…♪♪~~


…正直、マヒロには“藤峰真裕”の影が全く見えず、本当に本人なのかと何度も思った。

特にカエデが来てからこっち、はっちゃけ具合も半端ないしこれ大丈夫か? とさえ。


でも。

たった今、思い知らされた。


俺が…俺達ごときが、マヒロと一緒に音楽をしようとすることが、どれだけおこがましいことなのか。

どれほど無謀なことなのか。

とてもじゃないが、ついていけない。

あのカエデでさえも、一歩後ろをついて行くのがやっとだろう。


『マヒロ……』


…俺達では、到底足元にも及ばない。

どれだけ見上げても、どれだけ先を見ても。

見えないくらい遠くに、マヒロはいる。









『……』

『……』

『……』

「……」

「……」


…それからしばらく後、演奏が終わり、俺達は誰一人として声すらあげられなかった。

比較的聴き慣れているであろうカエデさえもが黙り込み、その場を動かない。


「……?」


ただ一人、マヒロのみがきょとんと可愛らしく首を傾げていた。