目を閉じてみれば、“藤峰真裕流”だというのが分かる。
目を開けてみれば、あれが“本物”か、と思う。
心の底から思った。
天才という言葉は、まさにこいつのためにあるんじゃねェのか…と。
―~~♪…♪♪~~
…正直、マヒロには“藤峰真裕”の影が全く見えず、本当に本人なのかと何度も思った。
特にカエデが来てからこっち、はっちゃけ具合も半端ないしこれ大丈夫か? とさえ。
でも。
たった今、思い知らされた。
俺が…俺達ごときが、マヒロと一緒に音楽をしようとすることが、どれだけおこがましいことなのか。
どれほど無謀なことなのか。
とてもじゃないが、ついていけない。
あのカエデでさえも、一歩後ろをついて行くのがやっとだろう。
『マヒロ……』
…俺達では、到底足元にも及ばない。
どれだけ見上げても、どれだけ先を見ても。
見えないくらい遠くに、マヒロはいる。
『……』
『……』
『……』
「……」
「……」
…それからしばらく後、演奏が終わり、俺達は誰一人として声すらあげられなかった。
比較的聴き慣れているであろうカエデさえもが黙り込み、その場を動かない。
「……?」
ただ一人、マヒロのみがきょとんと可愛らしく首を傾げていた。

