フッと緩んだ表情からしてもう、アイツマヒロに溺れきってるな。
そりゃ気持ちは分かる。
マヒロは滅茶苦茶可愛いし、もし俺がカエデの立場だったらやっぱり溺愛してただろうなと思う。
あの可愛さで自分だけを愛してくれていたら、溺れもするわな。
「かっくんまおがんばるっ」
「ん」
「だからその暁には…! ぜひともおしゃし…」
「頑張れよー」
「あちょっと…待とうか。話を聞こうか、ね。ちょっと。どこ行くのかな? …あれ、聞いてないね。まお寂しいなっ」
くるっと踵を返して戻ってくるカエデの背後で、マヒロは一人ブツブツ言っていた。
しかもカエデのやつは…おかしくて仕方ないような顔してるな。
『えーもういいかねマヒロ?』
『うんそうだね…。かっくん聞いてくんなかったしね…うん』
『じゃ、今度こそ行けっ!』
『いや、だからどこに…?』
きょろきょろしながらそう突っ込み、首を傾げながらバイオリンを構えた。
やっとか…。
思わずそう思いつつも、背もたれに預けていた体を少し起こした。
―♪♪♪~…~♪~~
「……」
いきなりかよ…。
いきなりこんな迫力。
正直圧倒されるな…。
息を呑んで、喰い入るようにマヒロに釘付けになった。
ちらりとも他を見る余裕はなかったけれど、たぶん他のやつらも同じだろうと思う。

