缶なるものを蹴っ飛ばすっていうあれ?
してないけど。
何も蹴っ飛ばしてないけど。
「…お前本当に耳いいんだろうな?」
「え? なんで?」
「ハア…。いいのは音感だけか…」
音感? ああ、音感なら多少自信あるよ。
もうずっとずーっと小さい頃から音楽に触れてきたからね。
「そんなことより、合格? ねえ合格?」
「ああ……まあそうだな…」
「えー…どっかダメだった?」
「いや。楽譜通りではあるが」
「わお。そうなの?」
…ん? じゃあいいじゃん別に。
「完全に俺のをコピーしてた感じだったけどな」
「だってかっくんの真似したんだもん」
「真似しなくていいから、今度は思う通りにやってみな」
思う通りに? え、いいの?
だってさ…まおって改造魔なんじゃ…。
「改造魔て…。…だからそれでもいいからやってみなって」
「そんじゃあ、怒っちゃいやよ」
「怒らねぇよ(たぶん)」
今たぶんってどっかから聞こえた気がしたけど、まあ気のせいってことにしときましょうか。
それじゃあ……かっくんのは忘れてもう一回。
大きく深呼吸をして、もう一度やり直した。

