「例えばテンポが違ったら、お前は全てをちゃんとそれに合わせてる。一部だけ違うような中途半端なことはしない。本当に微妙な差を、絶妙に合わせてるんだからな」
へー…そう…。
いや、そんなこと考えてやったことないから分かんないけど…。
かっくんが言うならそうなのだろう。
あたしはいつも、勝手に曲を微妙に改造しちゃってたらしい。
ダメだなおい。
てかそれで舞台に立たせるって先生もどうなのよ。
「まあ…お前に俺みたいなやり方は似合わないし、らしくていいんじゃねぇの?」
「そう…」
かっくんがいいって言うならいいけど。
じゃんじゃんやらせてもらいますけど今まで通り。
ね❤
「お前のことだ。もう覚えただろ? やってみな」
「はいはーい」
とりあえずかっくんの真似してやればいいんだよね。
…そんじゃまあ行きましょか。
なぜか咳払いをして、愛用のバイオリンを肩に乗せた。
―~♪~♪♪♪~~♪~…
弾き慣れない曲をやるのはすごく久しぶりだ。
ここ数年は、もっぱら好きな曲ばかりをやりこんでいた。
それも上手くはいってなかったんだけど…。
なんか自分で言うのもなんだけど、今は意外とイケてる気がする。
音楽ってやっぱり、自分の心を反映するよね。
…結局譜面台に立てた楽譜には見向きもせず、耳に残るかっくんの音を自分の指で奏でた。
「……お、終わりました…」
「完コピしてるなおい」
「え? 缶蹴り? 噂に聞くあの缶蹴り?」

