秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*


「例えばテンポが違ったら、お前は全てをちゃんとそれに合わせてる。一部だけ違うような中途半端なことはしない。本当に微妙な差を、絶妙に合わせてるんだからな」


へー…そう…。

いや、そんなこと考えてやったことないから分かんないけど…。

かっくんが言うならそうなのだろう。

あたしはいつも、勝手に曲を微妙に改造しちゃってたらしい。

ダメだなおい。

てかそれで舞台に立たせるって先生もどうなのよ。


「まあ…お前に俺みたいなやり方は似合わないし、らしくていいんじゃねぇの?」


「そう…」


かっくんがいいって言うならいいけど。

じゃんじゃんやらせてもらいますけど今まで通り。

ね❤


「お前のことだ。もう覚えただろ? やってみな」


「はいはーい」


とりあえずかっくんの真似してやればいいんだよね。

…そんじゃまあ行きましょか。


なぜか咳払いをして、愛用のバイオリンを肩に乗せた。



―~♪~♪♪♪~~♪~…



弾き慣れない曲をやるのはすごく久しぶりだ。

ここ数年は、もっぱら好きな曲ばかりをやりこんでいた。

それも上手くはいってなかったんだけど…。

なんか自分で言うのもなんだけど、今は意外とイケてる気がする。

音楽ってやっぱり、自分の心を反映するよね。


…結局譜面台に立てた楽譜には見向きもせず、耳に残るかっくんの音を自分の指で奏でた。


「……お、終わりました…」


「完コピしてるなおい」


「え? 缶蹴り? 噂に聞くあの缶蹴り?」