もう会えない君。



「…よ、よし!ファミレス行こうか!」
いつもなら悠が言いそうな台詞を今日は珍しく、隼が口にした。


驚いたのは悠だけで私は隼の言葉に賛成した。
すると悠もいつものように笑って隼の言葉に賛成した。


「今日は俺の奢りだ!」
隼はきっと悠を気遣っているのだろう。
だから珍しくもおかしな誘いをしたんだと思う。


私にも出来る事があるなら、悠の笑顔を守りたい。


消える事のないように…
悠の顔から笑顔が消えないように。


私達は急いで教室に戻り、鞄だけを持って教室を出た。


――初めて学校を早退した。
もちろん、無許可で。


向かった場所は学校から歩いて20分程度の場所にあるファミレス。


店内は空いていて私達は窓際に座った。


ウェイトレスさんが氷の入った冷たい水を三つ、テーブルの上に運んできてくれてメニュー表と共に置いていった。


私の隣は空席…というより鞄置き場。
悠と隼が私の目の前に座っている。


メニュー表と睨めっこを始める悠の顔は真剣そのものだったから私は思わず笑ってしまった。