もう会えない君。



「人を好きになった事ないから分からないけど皐くんを見ると胸が高鳴るというか…」

「そ…っか、皐か……」

「隼?」

「あ、そうだよな!あいつも良い所あるし!」

「皐くんと初めて出会った時は無愛想で悠にそっくりだったんだけど話してみると凄く優しいの!隼みたいに!」

「凛がまじで惚れたなら仕方ないよな!…けど」

「…悠になんて言ったらいいんだろう」

「問題はそこなんだよな~…」
隼は苦虫を噛んだような顔をして考え込む体勢をとった。


恋って複雑。
誰もが皆平等に好きな人と結ばれたら幸せなのに…神様はそんな事をしてくれない。


むしろ混乱させるのが神様の趣味のようだ。



「おっ!こんな所に居たのか!」
――振り返るとそこには教室に居たはずの悠の姿があった。


驚いているのは私だけではなく、隼も同じだった。


近付いて来る悠を見て唾を飲み込んだ。