もう会えない君。



「え…それまじで言ってる?」
信じられないというような表情で隼が口を開いた。


そんなに意外な事なのかな?
私に好きな人が出来るって意外…?


「うん…」

「悠じゃない人って事だよな」

「多分、隼は知ってると思う」

「俺が知ってる?」

「隼の同居人」

「………もしかして皐?」


名前を聞いただけで頬が熱くなるのを感じた私は頬を両手で覆いながら俯いた。


恋をするって本当に不思議!
ただ名前を聞いただけなのに胸が五月蝿く騒ぎ出す。


顔は上げられないし、隼の表情なんて見れないよ…。


「凛が皐に惚れるとは意外だな」

「えっ?」
あ…顔上げちゃった。
まだ熱さが引いてないのに。
恥ずかしさでまた頬が熱くなる。
いわゆる茹蛸状態なのだろう…。


「…そんなに皐の事、好き?」
切なそうな、寂しそうな…今にも泣きそうな目をしている隼。
そんな風に見えるのは私だけなのかもしれないけど。