視線を辿って後ろに振り返ると舞と愛美が数名の女子生徒と楽しそうに立ち話をしていた。
冷たい視線を送る悠に私はなんて声を掛ければいいのか分からなかった。
しばらくして悠が舞達の方に歩き出した。
私はそれを止める事も出来ないまま、その場に立ち尽くしていた。
悠に気付くと舞は明るい笑顔を見せてた。
まるで花が咲いたかのように胸を弾ませているように見えた。
それもそのはず。
悠から女の子の方に近寄る事はないし、話し掛ける事はない。
いつも悠が女の子に近寄られる側だし、話を掛けられる側だから。
「俺に言いたい事あんだろ?」
「えっ?」
悠は単刀直入に舞に話を振った。
当然の如く、舞はすっとんきょんな声を出した。
「俺の彼女になってどーすんの?」
「…ゆ、悠くん?」
「そんなに彼女になりたいのか?」
「…ちょっと悠くん?」
「凛に別れろとか言ってんじゃねーよ!」
「………ッ」
「そもそも凛は純粋なんだよ、お前と違うんだよ」
「あんな奴の何処が純粋なのよっ」
「お前のその捻くれた性格に比べたら純粋だろ」
「………」
黙り込んだ舞を愛美や周りの女の子達が慰めようと近寄った。
