もう会えない君。



「別れたくないって言うの?」
…ついには逆らったら何をするか分かってるのか的な視線を送り付けられた。


「あのさ、悠に言って?」
面倒に思った私は彼女達にこう言い放って教室へと戻った。


そして教室前の廊下で悠が寂しそうに誰かを待っているように見えた。


「悠っ!」
私が名前を呼ぶとハッとして私の方に視線を向ける悠。
私を見つけるなり、悠は満面の笑みを浮かべた。


悠に駆け寄り、「誰か待ってるの?」と聞いたら悠は「凛を待ってた」と言って笑った。


あ…
もしかしてトイレから教室に戻って私が居なかったから待っててくれたって事?


勝手な解釈をして私は悠にさっきの女の子達の言葉を伝えようと思った。


「悠、」

「どうした?」

「終わりにしよう」

「…は?」

「この芝居、終わりにしよう?」

「………」

「別れてほしいって言われたし、別に本当のカップルじゃないし…ね?」

「誰に?」

「藤崎舞と近藤愛美」

「…分かった」


悠は私から視線を逸らし、後ろの方に視線を移した。