もう会えない君。



…――――そして“それ”は突然起きた。


「鈴木さん、ちょっといいかな?」
悠がトイレに行った時だ。
藤崎舞率いる女の子、数名が私を訪ねてきた。


私が首を縦に振ると彼女達は不敵に笑った。


「場所移動しない?」
舞が廊下の方を指し示した。
だから私は席を立ち、先を歩く舞達に続いた。


連れて行かれた場所は教室近くの廊下ではなく、人通りの少ない廊下だった。


嫌な予感はしていた。
…というか、しない方がおかしい。


言われそうな事もなんとなくだけど分かっていた。
この人達に呼び出されたという事はそうゆう事だ。


多分、隼と悠のどちらかの事だろう。
もしかしたら隼と悠の両方に関する事かもしれないけど。


一息吐いて口を開いたのは舞…――――ではなく、舞の取り巻きである近藤愛美だった。


「鈴木さんは悠くんと付き合ってるのよね?」
確認するかのように問い質そうとする愛美に私は面倒臭そうな視線を送った。