もう会えない君。



夏休みまで残り僅かとなった頃、珍しく隼と悠が一緒に登校した。


「凛、おはよ~」
大きな欠伸をしながら眠そうな声で私に朝一番の挨拶をくれるのはいつも隼だ。


そして悠が隼に続いて私に挨拶をくれる。
私はそんな二人に笑顔で挨拶を返す…これが私達の中で当たり前となっていた。


「寝不足?」
隼に問い掛けると「そんなとこ」と曖昧な返答をした。


最近、隼が私の席に来る事が増えた。
女の子の間を掻き分けて悠と私が居る所に来る事が多くなった。


悠が女の子に囲まれている時は必ず隼が私の元に来る。


二人とも私を気遣ってくれているのだろう。
それはとても有り難い事で、当たり前の事ではない。


相変わらず人気の二人。
悠は一度、減ったはずなのに今では人気急上昇。
言葉を返すようになった事で女の子からの人気が上がったらしい。


それでも悠は私との時間だけは誰にも譲らなかった。
私と話している時は話し掛けないでほしいと女の子達に忠告していたのを聞いた事がある。


それは仮の彼女だから念の為、優先順位として考えた結果だったのだろうけど肩を落とす女の子はやっぱり私を気に入らないみたいだった。