もう会えない君。



会って間もないのにときめいた自分に驚いた。


今まで悠や隼の周りに居る女の子達の気持ちがなんとなくだけど分かったような気がした。


好きな人に振り向いてもらおうと必死になる女の子達の姿が浮かぶ。


私もあんな風に…
皐に振り向いてもらおうと必死になる時が来るのだろうか?


恋とは不思議なもので好きと気付けば冷静になれる自分が居た。


その日は夕食も喉を通らず、お風呂に入り終えた後、そのまま眠りに就いた。



…――――不思議な夢を見た。


私が泣いてる夢。
一人で泣いていると誰かが私の頭を優しく撫でた。


顔を上げてみるけど暗くてよく見えない。


だけど知ってるように思う。
私は、この人を知ってるんだと思う。


面影に似た“何か”がある。


誰だかは思い出せない。
でも分かる事が一つだけ。


それは…――――この人は皐ではないという事だけ。


私が目を覚ますと部屋には光が注がれていた。
カーテンの隙間から漏れる光が眠い私の目を細めた。