もう会えない君。



<バタン…――――ッ>

鍵を掛けようとポケットの中から家の鍵を探すけど見つからない。


あ…
そういえばリビングに置きっ放しだった。


私は家の中に戻り、部屋の鍵を持って再び部屋を出た。


鍵が閉まったかを確認してポケットの中に鍵を仕舞い込んだ。


すると前方にエレベーターを待つ、男の子が見えた。


あの人…この前の男の子だ。


私がエレベーターの所に行こうとした時、何かが足にぶつかった。


私は足元に視線を落とした。
すると少し離れた所に定期入れが落ちていた。


それを拾い上げ、名前を見た。


「……九条…皐?」
前方に居るのは一人の男の子だけ。
もしかしたら、あの子のかもしれないと思った私は今にもエレベーターが閉まりそうな所をギリギリで通過し、エレベーターに乗り込んだ。