もう会えない君。



「悠……」
私は貴方を愛していない。
だって私達は公認されない偽りのカップル。


そうでしょう?
貴方も私の事なんて何とも思ってないよね?

ただカモフラージュする為に仮の彼女にしただけなんだよね?


「んー?」
語尾を伸ばしながら返答する悠はいつになく、上機嫌のようだ。


「さっきの事なんだけど…」

「えっと名前の事?」

「うん、“くん”付けで呼ぼうかなと思って」

「はあっ!?」


なぜか悠はかなり驚いていた。
私の言動に大袈裟な反応をした。


ポカンとする私を差し置いて悠は一人で悩み始めた。


「え?俺?俺が原因?…だよな!それ以外、考えらんねえ!俺か!」
突然、言葉を口にしたかと思うとまた黙り込んで考え込む。


一人コントをしているように見える。
そんな悠を不思議そうに見るクラスメイト。
理由を知らないから何をしてるんだろうと不思議に思うのだろう。


私はなんとかして悠を落ち着かせようと思い、名前を呼んだ。


「悠、」
だけど悠は私が呼んでも更に混乱するだけで…。