「なんで駄目なの?」
うるんだ瞳で悠を不思議そうに見つめる女の子。
これが女の子の得意技なのかは分からない。
なぜ今にも泣きそうな顔をしているのか、女の私でも不思議に思う。
むしろ逆に「どうして泣きそうな顔をしているの?」とでも聞きたくなってくる。
悠はこの子になんて言葉を返すんだろう?
だって私は悠の事を呼び捨てにしている。
なのにどうして駄目なの?ってこの子は聞いている。
悠の言葉を待つ、女の子と私。
「それは…――――」
意外な答えだった。
女の子は微妙に納得してるようだったけど私は納得出来ないでいた。
――――…“呼び捨てをしていいのは彼女である凛だけだ”
彼女…といえば彼女なのだろうけど仮の彼女であって別に本当に付き合ってるわけじゃない。
それなのになんだろう…。
この特別扱い的な感じ…。
不思議な感覚だ。
「じゃあ…仕方ないよね」
残念そうに肩を落とす女の子。
私は女の子に申し訳ないという気持ちに似たような感情を抱いた。
