もう会えない君。



「あっ!飲み物の方がいいよな!」

「………」

「違うか!お菓子だよな!お菓子っ!」

「……あ」

「あっ!?どうした!あんぱんか!?」

「………」


再び、私が黙り出すと悠は頭を抱えて悩み込む。


“あ”と言っただけで“あんぱん”と解釈する悠が面白くてたまらない。


私が笑うと悠は悩み込むのを止めて不思議そうに私に視線を送る。


悠は私が笑っても怒らない。
自分の事を笑われてるというのに怒らない。


悠は自分の事で笑われているという事を知っているのに怒らない。


むしろ一緒になって笑ってくれる。
他の子には見せない笑顔を私に見せてくれる。


これが仮にも彼女の特権なのかもしれない。