もう会えない君。



イヤホンをしている悠に視線を戻す。
すると悠と視線が合った。
悠はイヤホンを外して女の子を邪魔そうな目で見て再び私に視線を戻した。


「凛ちゃんは今日も可愛い!」
わざとらしく大袈裟に変な事を言い出した。


唖然とする女の子達。
悠の発言に余程、驚いたのだろう。


突然、何を言い出すのかと思えば…
思ってもいない事を言い出した。


呆れてものも言えないとはこうゆう事なのかもしれない。


だけど悠の笑った顔を見るとその言葉が本当にそう思って言ってくれているように聞こえる。


「悠くん、そんなに好きなの?」
舞が悠に悲しそうな瞳で視線を送りながら問い掛けるが悠は舞の言葉を無視した。


相変わらず悠は女の子と絡む事をしない。
話も聞かないし、話そうともしない…私を除いてだけど。


どうして悠は他の女の子と会話をしないのだろうかとずっと不思議に思っていた。


後で聞いてみようかなと思った私は悠に笑顔を見せた。


…一応、仲が良いという設定になっている。
だから私は悠に笑顔で「ありがとう」なんて思ってもない事を口にした。