隼がそこの扉を開ける事はなかった。
いつもみたいに名前を呼んでもらう事も。
いつもみたいに手を繋ぐ事も。
いつもみたいに頭を撫でてもらう事も。
もう二度と叶わない、私の我儘。
私の願いは叶わなかった。
私の祈りは届かなかった。
神様は…
私の望みを叶えてはくれなかった。
ねえ隼?
痛かったよね。
苦しかったよね。
ごめんね。
私と出会わなかったら隼の未来は光、輝いていたのかな?
運命の選択は時として残酷だと思った。
だけど運命の選択は時として幸福を与えるものなのかもしれない。
…だって。
隼と過ごした時間は本当に大切な時間だから。