泣き叫ぶ私を悠が支えてくれた。


だけど…。
どんなに泣き叫んでも、声を上げて名前を呼んでも、隼は戻って来ない。


隼は遠い、遠い世界に逝ってしまった。


あの時。
無理にでも一緒に帰ろうと言って居たら運命は変わっていたかもしれないのに。
あの時。
隼と一緒に帰る事を諦めさえしなければ、こんな事にはならなかったのに…。


ごめんね。
隼の未来を奪ったのは…私だ。


泣いても、嘆いても、叫んでも、もがいても…
隼が私の名前を呼んでくれる事も隼と手を繋ぐ事も撫でてもらう事も声を聞く事も…もうない。


もう二度と隼には会えないんだ。


その日は帰ろうと言われても帰る事なんて出来なかった。
皐が入院している病院だった事もあり、特別、皐と同じ部屋に布団を二人分、用意してくれた。


だけど、誰一人として眠る事はなかった。


悔しそうに泣く悠と皐。
私はそんな二人を見て思った。


どうして隼だったんだろう、って。
なんで私じゃなかったんだろう、って。


こんなに愛されてるのに。
隼はどうして逝ってしまったの…?


「冗談だ」って言って戻って来てよ…。
そこの扉を開けて、いつもみたいに笑ってよ…。