言葉を思い出す。
隼からのメールの内容を…。


だけど、隼がどっちの道を通ってるのか分からない。


近道してるのか…。
それとも遠回りをしているのか…。


立ち止まる私は隼が近くに居ないか、辺りを見渡す事しか出来なくて。


すると、握り締めたままの携帯が振動した。


…隼からかもしれない!


急いで携帯を開いてディスプレイに表示ささる文字を見た。


期待は…――――一瞬で消えた。


【着信:早瀬 悠】


悠からの電話だった。
一瞬だけ期待しちゃったよ…。


「もしもし」

『近道!』

「えっ?」

『隼、早く帰るんだって言って近道で帰るっつったらしいんだよ』

「…近道……」

『そうだ。俺も今から行くから!』

「分かった。先に行ってる」

『気を付けろよ』

「うん、分かった」

私は電話を切って近道ルートを思い出しながら足を進めた。
携帯はポケットに仕舞う事もしないまま、握り締めて。